Fumi Day

Friday, 04

20200904_1

目覚まし鳴って6時30分、起床。今日はソンクランの振替で4連休の初日だが通常通りに起床。娘もおこして、普段通りの準備。娘の園は今日も来週の月曜も振替休日を撤回して保育してくれる。共働きの親も多い園なので、そのあたりは本当に優しい。そもそもタイには珍しいクリスチャン系の園だ。

娘に服を着せると「あれ?ぱぱてぃーしゃつは?」と聞いてくる。今日は金曜なので園指定Tシャツの日だからだ。本当はいかせて、俺は髪切りにでもいこうと思っていたんだけれど、昨日スイッチの第2段階がはいったので園にいかせるのは止めた。昨晩の決断を娘にも伝える。どこまで理解したかはわからないけれど、神妙な顔で聞いていた。7時30分、自宅を出て事務所へ。携帯がつづけざまにLINEのメッセージと電話の着信を知らせている。

休みなので当然ながら誰もこない。携帯はまだ確認していない。8時すぎ、休みの朝という迷惑は承知でボスに会社携帯で電話。話があるので御自宅にお邪魔したいと伝えると、すぐに何かを察してくれたのか事務所に来てくれるという。20分ほどして、ボス登場。話しはじめようとすると「ちょっと待って」と、コーヒーを淹れにいった。

「辞めさせてください。」

決断をボスに伝える。俺の決断は、日本帰国だった。

つい昨日、年末商戦をどうやって乗り切るかというミーティングをしたばかりなのに。ボスは俺の現状を半分くらいは知っている。そして今の俺の緊迫した顔つきはわかっている様子。しかし、現状で仕事放棄するのはいかがなものか、たとえば警察とか弁護士とかを間に入れて、なんとか凌げないか?現状で抜けられては困る、という。至極真っ当だし、当たり前の言葉だ。もちろんそれは試したが、そういうのが通じる相手ではないと説明。でも、正直なとこ俺の置かれてる状況なんて誰にも理解できる状態じゃないとは思う。端的にいえば異常だし、俄かには信じられないから。

携帯に着信が続いているのを、未だ見ていないことを伝える。既読が付くと相手がカサにかかってくるから。が、もう限界っぽかったのでその場で見てみると、電話着信の合間に血塗れのティッシュが溜ったゴミ箱の画像など。文言は今までと同じ感じの脅し。ウチのコンドミニアムの写真もあった。それを見たボスは絶句。日本の大ボスへと連絡へ。俺はその間に文章を読む。

いつまでも無視するのは得策ではない、どうするんだ?というのが最初の方で、既読になってからは、読んでるのに返事しないのは俺を怒らせたいからだろう、それならこっちも行動する、的な脅しがひたすらに。とりあえず、いくらか尋ねるとしばらくして53000バーツと返ってきた。思ったより少ない。

ボスが返ってきて、まだ繋がっている電話を俺に。久々の大ボスとの会話がこれだとは本当に情けないし、申し訳ない。大ボスは本当にスタッフ思いの方なので、とりあえずわかった、との事。しかし、このままただ辞めても仕方ないので、しばらくは所属しとけ、といってくれた。日本戻ったらリモートで仕事しろ、給料も出すから、という俺の無責任極まりない行動に対して、余りにもありがたい提案だった。

帰ってリモートで仕事はもちろんするが、きちんとしたクオリティできる保証もないので、とにかく落ち着いたら再度連絡すると伝え電話を切る。ボスともそう話し、その場でチケットを確認。最短で今夜の便が取れた。今月は娘の医療保険の更新と園の授業料支払いがあったので、幸いなことにチケット代もなんとかなる。すぐに予約。娘はその間、なんとなく俺の回りをうろうろしたり。

事務所の鍵や会社携帯などをボスに返却し、荷造りのために部屋へ戻る。但し、すでに手下連中が張っている可能性が高い。とりあえず園へ。世話になった先生に事情を説明。この先生にはほぼ話していたので、驚きはしたが帰国に関してはその方が良いかもしれないですね、といってくれた。他の先生方にも今日でとりあえず娘は園を辞めると伝える。娘、結構な人気者だったみたいで社交辞令もあるだろうが、みんな悲しんでくれた。本人は今日もにこにこ。園でやっていた勉強の資料を受け取る。

帰宅前に相手と交渉。払うかどうするか迷ったが、最終的なところで邪魔されても困るし、もしほとぼりが冷めてバンコクに戻ることになった場合でも、払ってなかったら面倒だなぁ、とかも思って18時ぐらいまでになんとかする、と連絡。すると、それなら手下はコンドミニアムにそのまま張らせるという。やっぱり既に居たんだな。逃げるようなら、こちらにも考えがある的な事をいうので、18時に53000バーツ返すと伝えると、さっきのはドライブ中で押し間違えた63000バーツだ、とクズの見本みたいな返信。面倒なのでわかった、と伝える。

部屋に戻ると駐車場に3人ほど車に乗ったのがいた。アレか。とはいえ18時までは手を出してくる事はないだろうから、そのまま部屋に上がって大急ぎで荷造り。昼は娘が「ふれんちふらい!」というのでマックのデリバリーを。届いて階下に取りにいくと、例の三人は相変わらず駐車場に。払うまではいるだろう。

スーツケース大と小が一つずつ。それに俺と娘のリュックサック。荷物はこれだけにした。生活雑貨などは全部残し。服なども買えばいいので最低限。娘が園で学んできた教科書やノート、写真などは全て荷物に入れた。16時すぎ、相手に連絡。用意できたので返済するというと早かったな、との返信。うるさいわ。送って確認させると、確かに受けとったとの返信。階下に降りると連中は消えていた。

そのあと、相手からは元妻には何もしてない、あいつが逃げたのが悪いとか、ちょこちょこLINEが入る。正直、もう元妻の事をケアするだけのパワーはない。娘だけだ。今から家に帰るので電話を返せるのは二日後だ、というのもきた。元妻が現状を知るのは、そのあとになるのか。部屋は鍵も開けたまま、机の上にバイクの鍵も含めて置いてきた。頃合いを見て、友人に処理をお願いの予定。もしくは元妻が戻って、連絡をしてきた場合は処理させるか。どちらにしても23日には出頭しないといけないだろうし。保証人が同伴しないと、保釈金はどういう扱いになるんだろうか。

夕方Grabを呼んで空港へ。7年近いタイでの暮らしがあっけない形で終わろうとしている。まさか、こんな風にバンコクを去ることになるとは思いもよらなかった。しかし、横にはニコニコと飛行機に乗るのを楽しみにしている娘がいる。俺には、もうそれだけで良いし、それだけを考えたいから。

もちろん娘とふたりで暮らすにはタイはとてもいい所だ。シングルにも優しいし、インター校などの選択肢も広い。娘は既に三ヶ国語を喋りつつある。だけんどもしかし。やはり、今の状態はリスキーすぎる。色んな事考えたけど、最終的に大好きなタイを去るしかなくなった。これが合ってるのかどうかは、今は全くわからない。今後どうなるか、どうするかもわからない。娘と元妻を物理的に引き裂く事にもなったので、これは後々娘から恨まれても仕方ないと思っている。あなたを愛しているが故の決断なんだと、いつかわかってくれるであろう、と。

空港は昨今の状況で閑散としていた。こんなの見るのはじめて。店も開いてないし、人もほとんどいない。荷物預けたら35kgオーバー。娘の教科書などが効いてる。段ボール箱貰って荷物を分けて無事に追加料金無しにて預けられた。娘は搭乗までの暇な時間がつまらなそうで不機嫌になるも、なんとか宥めて搭乗。久々の飛行機にテンション上がってたが、離陸間もなくして就寝。俺は窓の外少し見てから、ガラガラの機内をただぼーっと眺めてた。

グッバイバンコク。またいつか、ね。

朝:食わず

昼:アンガスビーフバーガー、ポテト

夜:食わず